
フランス語でgilet、英語でwaistcoat、日本では昔はチョッキなんて言いましたが、ベストです。この講習では紳士服の三つ揃えのジャケットの内側、シャツの上に着るベストを作るワークショップを行います。最初の写真では、イタリア製のベスト用の麻芯を使っています。薄手の毛芯を使うこともありますし、厚手のシーチングを使うこともあります。個人的には最近はジャケットと同じ毛芯を使うのが、綺麗に出来上がりやすいと思っています。
作り方は、まさに入門編のジャケットといったところです。基本は箱ポケット4つのものが多いです。4つもあると良い練習になりますね。左右形を揃えないと不恰好になりますから少し気を使います。もちろん箱ポケットではなく、玉縁ポケットにしてもokです。

この写真のベストは、衿をつけています。通常ベストは背側は衿をつけませんが、これはジャケットと同じように一周ぐるりとつけています。さらにカラークロスを使って本格的に仕上げています。こういうのもありです。さらにこのベスト前端は手縫いで仕上げています。ミシンで仕上げるのも問題ないのですが、手縫いだと柄合わせ(これはヘリンボーン)がしやすいこと、少し優しい仕上がりになること、などがメリットです。着ると見えませんが、内側はちょっと鮮やかな縞スレキを使っています。


衿はほぼ全て手縫いです。ポケットも口の地縫いと袋布の周囲以外は手縫いです。

こういう少しゆるっとしたものもありです。これは女性用です。ジャケット用の少ししっかりした毛芯を使っています。




ハンドステッチ、まつりなど、手縫いの箇所はとても多いです。ボタンホールは手縫いを強制しませんが、方法は説明します。




このベストはサンプルとして随分前に作ったものです。ラペルのクリーズラインが少し湾曲していて、これはアイロン操作で形作っています。写真の通り八刺しもしています。かなり柔らかい作りです。
ベストはいろいろなデザインが考えられます。まるでジャケットのようなものでも良いですし、もっと変わった生地を使っても面白いかもしれません。端にブロード飾りをつけても華やかでしょうし、いろいろありますね。
最後に前回の受講生の作品のご紹介です。




技術的にはいろんな要素が詰まっていますし、興味がある方はこの際是非お申し込みください。現時点では若干ですがお席に空きがあります。お待ちしています。